東京電力ホールディングスが、経営再建計画「総合特別事業計画(総特)」を今秋にも改定するようで、再建計画は福島第1原発事故の賠償や廃炉の費用をいかに捻出していくかを記したものだが、これまでに掲げた主要指標は未達が多く「絵に描いた餅」状態となっており、次期計画で確度ある収益改善見通しを示せるかが焦点となっています。
総特は約3年に1度のペースで改定され、政府が認可するのですが、東電は今春から改定作業を本格化させ、政府が昨年12月に示した見通しによると、賠償や除染など事故対応に必要な費用は、従来の21兆5000億円から23兆4000億円に拡大、福島第1原発の処理水放出に伴う風評影響による賠償の増加が見込まれることや帰還困難区域の除染の本格化で中間貯蔵施設の費用想定が膨らんだようです。
従来の総費用のうち、東電が負担するのは15兆9000億円で、2021年に策定された現行計画では、廃炉と賠償のために年5000億円の資金を確保する目標を掲げるのですが、17~22年度に確保した資金は年平均4094億円にとどまり、燃料価格の高騰などがあった22年度は3000億円台に落ち込んでいました。
年4500億円規模の利益創出で、株価を1株当たり1500円に高めてその売却益を除染費用に充てる目標もあるが、いずれも未達となっており、さらに東電が全額負担する廃炉費用も大きな問題となっていて、現在8兆円を見込んでいるのですが、処理水の海洋放出により廃炉作業が本格化すれば、必要な費用は拡大するとみられています。
溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しなど困難な作業は山積し、廃炉の全体像は依然として見えない。
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